EMSとは


EMSはElectric Muscle Stimulationの略称で日本語では「筋電気刺激」と呼ばれ、電気を用いて筋肉を刺激し筋肉収縮を誘発する方法のことを言います。これによって筋を訓練し強化することができます。
もともと人間は手足や身体を動かすことや内臓の働きなど、生命維持および継続に不可欠な活動はすべて人の生体電気で行われています。この事実を利用して、より高い効果を得られるようにするものがEMSと言うこともできます。

ここ数年、EMSは注目を集めており、スポーツの分野においては主に筋力トレーニングとして、美容の分野ではシェイプアップのため、さらに医療では患者のリハビリや予防・鎮痛などを目的として、様々な分野で活用されています。

また、EMSは電気によって筋肉を刺激するため、「自分から」運動をする必要がありません。運動以外のことをしながら、もしくは何もしなくても効率良く楽に筋肉を鍛えることができます。さらに副作用なども特にありません。

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電気で筋肉を刺激して効果を得る方法は紀元前から存在していました。
当時は電気ナマズやシビレエイなど発電器官を持った動物を用いて、主に痛風や腰痛など痛みに対する治療目的で利用されていたそうです。
それから1941年、アメリカにおいて電気による治療法を否定されることはあったのの、1965年にヨーロッパで提唱されたゲートコントロールセオリーで再び科学的根拠が示されました。

当初は、寝たきりの病人へのアプローチでした。
寝たきりになって一番の問題は筋肉が落ちることにあります。筋肉は完全寝たきり状態では1ヵ月で約50%も低下すると言われています。筋肉量が減ると身体の代謝が低下し、血液循環不良が起きたり、免疫機能の低下が発生します。
それを防ぐため、電気的に筋肉を刺激することはリハビリの助けになることから、現在では電気的に筋を強化するために応用されています。

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その応用はスポーツの世界にも広がり、1972年のミュンヘンオリンピックでEMSによる筋力トレーニングを施した旧ソ連の選手が活躍した事実は大きな注目を呼びました。このとき、EMSを通しておよそ40%もの筋力を増加できたと主張しています。
EMSに対する関心はアスリートだけでなく、無重量状態、すなわち宇宙空間での筋肉維持のために宇宙の分野でも利用が広がっていき、近年では一般家庭においてトレーニング機器として普及するようになりました。